とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
9 甘えてもいい人
 たこ焼きを全て楓介に任せてしまった愛梨は、片付けくらいはさせて欲しいと頼み、その間にお風呂に先に入ってもらった。

 洗い物をしながら、浴室から聞こえてくるシャワーの音に耳を澄ませるていると、なんだか恥ずかしい気持ちになってくる。

 意識しているわけではないが、一糸纏わぬ姿の楓介が壁の向こう側にいると思うだけで、前回のベッド上の彼の姿を思い出してしまうのだ。

 ほどよく筋肉のついた体。思わず掴んでしまった腕は想像以上に硬くて、男性の体を初めて知ったような気がした。

 苦しげに歪ませた顔と、キスをした時に感じた熱い吐息は、今まで知らなかった彼の一面を愛梨に教えてくれた。

 そんなことを想像していると、あの日の興奮が蘇り、心臓が大きく音をたてて打ち始める。

 気付けばシャワーの音は止んでいて、風呂上がりの楓介がリビングに戻ってきた。

 白いTシャツにグレーのスウェット、肩にタオルを掛け、気持ちよさそうに愛梨に笑いかけた。

「片付けありがとう。あとは俺がやるから、愛梨も入っちゃってね」
「うん、ありがとう」

 前回は目を覚ました時にはすでに、楓介は身支度を整えた後だった。だからどこか無防備な彼の姿を見られて、得したような気分になる。

 洗い物と拭く作業は終わっていたので、片付けをお願いして愛梨は風呂に入ることにした。

 シャワーを浴びながら、身体中を洗っていく。彼の部屋の匂いに染まる自分に、少し照れてしまう。

(今回は酔いすぎてはいないし、意識もしっかりしてる。だからお風呂を上がったら、『おやすみなさい』って言ってソファで寝れば、何も問題ないし。ただ友達の家に泊まるだけじゃない)

 ほんの少し意識してしまっているのは、先ほどの楓介の言葉と、風呂上がりの彼の姿が気になっているからに他ならない。

(あぁ、心ではダメだと思っているのに……。あんな姿を見たら、またしてみたいと思う自分もいるから困っちゃう……)

 きっと楓介に言えば、快く引き受けてくれるだろう。でも性欲に流される自分を、彼には見られたくなかった。

(楓介くんなら、『我慢しなくていい』とか言いそうだけど……。理由もなく、ただしてみたいだけなんて、どんなふうに見られるのか怖くて言えないよ)

 風呂から上がり、先ほど渡された袋からルームウェアを下着を取り出す。

 眉間に皺を寄せながら、下着の色が水色であることに、とりあえず納得をした。

(赤とかじゃなくて良かったけど……)

 ただレースがたくさん使われたデザインだったので、自分に似合うのか不安だった。

 とはいえ、楓介が愛梨に合うように買ってきているのだ。この感覚を信じるしかなかった。
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