とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「俺が三人兄弟の三男っていうのは話したよね。家業を継ぐのは兄だし、だから俺は好きなことをさせてもらえてたんだけど」
「もしかして、留学のこと?」
「それもそうだし、大学を卒業した後もしばらく好きなことをしてたんだ。バックパッカーやったり、ボランティアをやったり、毎日が充実して楽しかったよ」

 頭にその時のことが思い浮かんでいるのか、穏やかな笑みを浮かべている。

 そんな様子を見ていると、愛梨にも彼の気持ちが伝わってくるようだった。

「でもそんな時に兄がさ、『楓介が好きそうなコンセプトの店を出したいんだ』って話を持ちかけてきてさ」
「もしかして……星に関係してるお店?」
「そう。最初は出来ないって断ったんだけど、全然諦めてくれないんだよね。だから仕方なく日本に戻ることにしたんだけど、これが意外と楽しくて、今は戻って良かったって思ってる」

 愛梨の胸が高鳴った。今まで楓介がこんなに楽しそうに話をしていることがあっただろうか。

 高校時代に光一と祥子の影に隠れがちだったが、楓介の本当の姿は、好きなことに真っ直ぐに取り組む素敵な人なのだと初めて知った。

「じゃあ今はお兄さんとお仕事をしてるの?」
「兄が発足したプロジェクトだけど、ほぼ丸投げされてる。時々口を出してくるけど、好きなようにさせてもらってるよ」
「へぇ……お兄さんが楓介くんを呼び戻すために始めたお店だなんて、なんか気になるな」
「まだ話せる段階じゃないから、もう少し待ってくれる?」
「うん、楽しみにしてる」

 そこまで秘密裏に動いているプロジェクトがどんなものか気になった。もしかすると想像以上にすごいお店なのかもしれない。

 それならば彼が話してくれる日を楽しみに待とうと思った。
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