とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
 ふと会話が止まり、静けさが漂う中で二人の目が合う。

 目を逸らすことが出来ずにいると、突然楓介の手が伸びてきて、愛梨の頭を優しく撫でた。

「愛梨、今日の昼って何かあった?」

 何故彼がそんなことを言うのか意味がわからず、目を瞬き、ごくりと唾を飲み込んだ。

「えっ……どうして?」
「なんかさ、昼間の声が元気なかった気がしたんだよね。それにさっき光一と尾原さんの話になった時、愛梨の表情が一瞬こわばったから、もしかして何かあったのかなって思って」

 確かに昼間のことを思い出してしまったが、顔にまで出ているとは思わなかった。

 愛梨が唇をぎゅっと結ぶと、楓介は人差し指で愛梨の唇に触れる。

「これは愛梨が言いたいことを我慢した時の癖なんだろうな。わかりやすいからいいけどね」

 彼の言葉を聞き、愛梨の目頭が熱くなる。確かに我慢している時の癖ではあるが、それを指摘したのは親以外にはいなかったのだ。

(楓介くんは本当に周りをよく見ている。だから私のことも見透かしちゃうんだ……)

 ここまで自分のことを気にかけてもらえて、恥ずかしくも、嬉しくもあった。

 愛梨は小さく呼吸をしてから、俯きがちに口を開く。

「祥ちゃんにお昼ご飯に誘われて、一緒にランチしたの。ほら、仕事も忙しかったし、あのメール以降は話してなかったから、いい機会かなって思って」

 楓介が静かに聞いてくれていたので、そのまま話を続ける。

「祥ちゃんは結婚式をすごく楽しみにしているの。でも親族は結婚式を延期した方がいいって思っているんだって」
「あぁ、確かにお見舞いに行った時、そんな話をしてたね。光一はその頃にはきっと治っているだろうから、尾原さんに合わせるつもりだって言ってた」

 やはり長い付き合いだからだろうか。光一が祥子の気持ちを汲んでいるように思えた。
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