とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「尾原さんはなんて言ってたの?」
「一年前から予約してる式場だし、やりたい気持ちが強いみたい。私も『出来るといいね』っていうことしか言えなくて……」
「うーん、これは当人たちにしか決められないことだからね。俺たちには何も言えないよ」

 楓介はそう口にしてから小さく微笑むと、愛梨の肩をそっと抱き寄せる。そして優しくポンポンと叩いた。

「どう声をかければいいか悩んだ?」
「……うん。祥ちゃんがどういう答えを求めているか悩んで、当たり障りのない言い方をしちゃった」
「それでいいと思うよ。尾原さんは一応相談してくるけど、自分の中で答えが決まっているタイプだと思うからさ」

 愛梨の目から涙が溢れ、楓介はさらに強く愛梨を自分の方へ引き寄せる。彼の胸元に顔を押し付けるような形になり、愛梨の涙は楓介のTシャツに吸い込まれていく。

(その言葉が欲しかった……)

 自分自身を肯定してくれたことで、心がスッと軽くなるのを感じた。

「だって俺たちは独身だし、結婚式がどれほど重要なものかわからないよ。っていうか、一年も前に予約するって早すぎじゃない?」
「決めることがたくさんあるんだって。それも楽しいって話してたよ」
「そうなんだ。当事者にならないとわからない世界なんだろうな」
「そうだね、私もまだよくわかっていないから」

 同じ感覚で話してくれる人がそばにいると、自分の考えも間違っていないのだと認めてもらえた気がして安心する。

「なるほど。それで昼間は元気がなかったんだね」
「うん、言いたいこともなかなか言えなくて……少しだけ息が苦しくなっちゃった。でも今楓介くんが話を聞いてくれたから、なんかすごく気持ちが楽になったの。だからありがとう」

 この間も思ったが、誰かが話を聞いてくれると、こんなにも心強くなるのだと改めて実感した。
< 66 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop