とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
 すると突然愛梨の体が浮き、思わず小さな悲鳴をあげた。

「えっ、な、なにっ⁉︎」

 お姫様抱っこのまま寝室に連れて行かれ、ベッドの上に下ろされる。

「決めた。今日は一緒に寝よう」
「ちょっと待って! だって私はソファで寝るって──!」

 起きあがろうとした途端、両手首を掴まれて押し倒されてしまう。

 不安そうな様子で楓介を見つめた愛梨に、彼は優しく微笑みかける。

「大丈夫。何もしないから」

 それからサイドテーブルの上に置いてあったスピーカーに向かって、家中の電気を消すように伝えると、愛梨の見える範囲の明かりが全て消えた。

 困惑した様子の愛梨の隣に楓介は横になると、愛梨の頭の下に腕をスッと差し出し、腕枕をしてから体を抱きしめる。

「何もしないって言ったのに、抱きしめるのはいいの?」

 顔を真っ赤に染めて唇を尖らせた愛梨の頭を撫でながら、楓介はクスクス笑う。

「だって俺たちにとっての"すること"って、アレのことじゃないの?」

 イタズラっぽく笑う楓介が、サイドテーブルの引き出しを指さしたので、愛梨は口をあわあわさせながら布団の中に隠れてしまった。

「誰かから伝わる温もりって気持ち良いと思わない? 俺はすごく癒されるんだよね。愛梨は頑張りすぎだから、少しでもリラックスしてほしいんだ」

 髪の流れに沿って頭を撫でられ、それが心地よくて息がほうっと漏れ出る。

「それって、経験値が高い人のセリフに聞こえるね……」

 頭がぼんやりとし、思ったことがつい口から出てしまった。

 その意味を理解するのにしばし時間を要した楓介が、慌てて布団をどかして愛梨の顔を上げさせた。

「違うよ! これは甥っ子たちのことで、そこまで経験豊富じゃないし……」
「大丈夫。楓介くんみたいないい人は、経験豊富でも十分納得できるから……」

 先ほどまではあんなに元気だったのに、頭も体も睡魔に取り込まれそうなほどだった。

「ゆっくり休んで。明日は寝坊したっていいんだから」

 楓介の体の温もりと、耳に響く彼の心臓の音、頭を撫でられることによる安心感。リラックスするにつれ、徐々に眠りの世界へと(いざな)われていった。
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