とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
* * * *

 目が覚めたのは、まだ日が昇る前だった。

 隣で眠る楓介を見つめて恥ずかしくなったが、頭はスッキリし、精神面も思ってほどのダメージを受けていないことに驚いた。

(楓介くんが言った通り、エッチなことをしてる時は何も考えなくて済んだし、何よりあんなに褒められた経験したことないよ……)

 これまでは祥子との会話で傷付いた後は、苦しい思いになることが多かったが、今回はそうではなかった。

 多少悲しい気分にはなるものの、楓介の言葉を思い出すだけで胸が暖かくなり、『祥ちゃんだから仕方ない』と、諦めがついたのだ。

(祥ちゃんと少し距離を置いた方がいいのかもしれないな。そうしないとお互いに傷つけ合うだけの、マイナスな関係になってしまうかも可能性だって否定できない……)

 自分を思ってくれる人がいる一方で、感情はずっと同じではないことに気付き、愛梨の中で気持ちにも変化が生まれ始めていた。

(もしこのまま楓介くんに甘えていたら、私に対して悪印象を抱いてる祥ちゃんに目の仇にされて、高田くんと楓介くんの友情が切れてしまうかもしれない)

 自分のせいで二人の友情が終わることだけは避けたかった。

 愛梨は楓介の寝顔を見ながら、胸が苦しくなるのを感じる。彼に触れたい衝動に駆られたが、起こすわけにはいかず、そっとベッドから降りて落ちていた服を手に取った。

 シャワーを浴びたかったが、音を立てて楓介を起こすわけにはいかない。

(私が二人と連絡をとらなければ、きっと楓介くんに対する祥ちゃんの印象も元に戻るはず)

 愛梨は服を着ると、カバンを持って静かに部屋を出る。

 本当は愛梨のために体を張ってくれた楓介に直接お礼を言いたかったが、そうなれば引き留められことは容易に想像が出来た。

(感謝してるし、もっと仲良くしたかったけど……だからこそ迷惑をかけたくないの)

 エレベーターに乗って下まで降り、止まっていたタクシーに乗り込んだ。

 それからスマートフォンをカバンから取り出すと、『今日までありがとう。感謝してもしきれません。高田くんと、これからも仲良くしてください』と打って送信する。

(目が覚めた時、私がいなかったら驚くかな)

 こんなに癒された時間は今までなかった。

(楓介くんのおかげでどん底まで落ちずに済んだ。私にとって、本当にヒーローだったよ……)

 後ろ髪引かれながらも、二人の友情が続くことが、愛梨の一番の願いだった。
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