とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
11 本当は
一人でホテルを出たあの日、楓介からは『辛い時はいつでも連絡してね』と返事があった。短い文章ではあるが、ここからも彼の優しさを感じた。
だが毎日続いていたメッセージのやりとりはなくなり、祥子からの連絡も途絶えている。
あの日から一週間。会社に行って、仕事をこなし、帰宅する。当たり前の日常のはずなのに、愛梨は心にぽっかりと穴が空いたような、空虚感に包まれていた。
(私、自分が思うよりも深く楓介くんに恋してたんだ……友達なんかじゃいられないくらいに──)
その理由が何かを自覚しているのに、自分から行動に移すことは出来ない。彼が愛梨に与えてくれたものが、別の感情になって心を締め付ける。
(自分で選んだことじゃないの。これからは仕事のことだけを考えて生きていけばいいのよ。余計なことは考えないんだから……)
心ではそう決心したのに、口からは大きなため息が漏れ、ガンッと音を立てて机に突っ伏してしまう。
「大丈夫ですか?」
近くにいた千歳と修が驚いた様子で愛梨を見た。
「えつ、あっ、うん、大丈夫! 驚かせてごめんね」
心配そうに尋ねた修に対し、千歳は何かを悟ったような表情で愛梨を見つめる。
「そっか。ダメだったか」
事実を突かれ、言葉を失った愛梨を慰めるように優しく肩を叩きながら、「まぁまた次があるよ」と声をかけた。
愛梨は苦笑しながら、ただ頷くしか出来なかった。
(たぶん次はもう来ないだろうな……。あんな特別な人、他にはいないと思うもの)
過去は変えられないし、この悲しさもしばらくは続くだろう。でもいつまでも落ち込んでいるわけにはいかないと、両手で頬を叩いて気合いを入れた時だった。
「安住、佐津川、牧川、ちょっといいか」
会議から戻ってきた部長に背後から声をかけられ、手招きをされる。
「あっ、はい、今行きます」
返事をした後に、急に呼ばれたことに嫌な予感がし、困惑した顔で千歳と修の方を向く。
「なんだろう……もしかして最近やる気がないとか思われた⁉︎ 仕事に生きていくって決めたのに、クビとか言われたらどうしよう⁉︎」
挙動不審になりながら助けを求めたが、二人はそうは思っていないようで、顔を見合わせて首を傾げた。
「あのね、私らも呼ばれてるんだから、それはないでしょ」
「あっ、確かに……」
「この間新メニューも通ったわけだし、うーん、だとしたらなんでしょう?」
「まぁとりあえず行ってみなきゃわからないよ」
「そうですよ! 百聞は一見にしかずっていうじゃないですか。大丈夫っす!」
「……あんたそれ、使い方間違えてない?」
「えっ⁉︎」
千歳に背中を押され、重たい足取りで部長の元へと向かった。
だが毎日続いていたメッセージのやりとりはなくなり、祥子からの連絡も途絶えている。
あの日から一週間。会社に行って、仕事をこなし、帰宅する。当たり前の日常のはずなのに、愛梨は心にぽっかりと穴が空いたような、空虚感に包まれていた。
(私、自分が思うよりも深く楓介くんに恋してたんだ……友達なんかじゃいられないくらいに──)
その理由が何かを自覚しているのに、自分から行動に移すことは出来ない。彼が愛梨に与えてくれたものが、別の感情になって心を締め付ける。
(自分で選んだことじゃないの。これからは仕事のことだけを考えて生きていけばいいのよ。余計なことは考えないんだから……)
心ではそう決心したのに、口からは大きなため息が漏れ、ガンッと音を立てて机に突っ伏してしまう。
「大丈夫ですか?」
近くにいた千歳と修が驚いた様子で愛梨を見た。
「えつ、あっ、うん、大丈夫! 驚かせてごめんね」
心配そうに尋ねた修に対し、千歳は何かを悟ったような表情で愛梨を見つめる。
「そっか。ダメだったか」
事実を突かれ、言葉を失った愛梨を慰めるように優しく肩を叩きながら、「まぁまた次があるよ」と声をかけた。
愛梨は苦笑しながら、ただ頷くしか出来なかった。
(たぶん次はもう来ないだろうな……。あんな特別な人、他にはいないと思うもの)
過去は変えられないし、この悲しさもしばらくは続くだろう。でもいつまでも落ち込んでいるわけにはいかないと、両手で頬を叩いて気合いを入れた時だった。
「安住、佐津川、牧川、ちょっといいか」
会議から戻ってきた部長に背後から声をかけられ、手招きをされる。
「あっ、はい、今行きます」
返事をした後に、急に呼ばれたことに嫌な予感がし、困惑した顔で千歳と修の方を向く。
「なんだろう……もしかして最近やる気がないとか思われた⁉︎ 仕事に生きていくって決めたのに、クビとか言われたらどうしよう⁉︎」
挙動不審になりながら助けを求めたが、二人はそうは思っていないようで、顔を見合わせて首を傾げた。
「あのね、私らも呼ばれてるんだから、それはないでしょ」
「あっ、確かに……」
「この間新メニューも通ったわけだし、うーん、だとしたらなんでしょう?」
「まぁとりあえず行ってみなきゃわからないよ」
「そうですよ! 百聞は一見にしかずっていうじゃないですか。大丈夫っす!」
「……あんたそれ、使い方間違えてない?」
「えっ⁉︎」
千歳に背中を押され、重たい足取りで部長の元へと向かった。