とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
* * * *

 会議が終わり、どうやって自分の机に戻ってきたのか記憶にないほど、愛梨の頭は楓介のことでいっぱいだった。

 専務である尋人の代わりとして、これから先も必ず顔を合わさなければいけない人なのに、どう向き合って話せばいいのかわからず、ただ混乱していた。

「専務、めちゃくちゃ出来る男! って感じでしたね! カッコいいなぁ!」
「確かに……。でも女性たちは弟の方に釘付けだったけどね」

 千歳の言葉に、思わず体がビクッと反応してしまう。

「なんかタイプが違いますよね。弟さんの方は、穏やかで柔らかい感じで、親近感が湧くっていうか。あっ、なんか佐津川さんに空気が似てる気がする」
「えっ、そ、そうかな……。どちらもなんかすごい人だなぁとしか思わなかったよ」
「まぁどちらもモテ男だけど、専務は子持ちの愛妻家。狙うなら社長令息の独身男でしょ」

 愛梨の体が硬直し、息が止まる。冷や汗と共に、動悸も激しくなってきた。

「まさか安住さんも狙ってたり⁉︎」
「そうなんですか⁉︎」

 つい大声を出してしまった愛梨と修を、千歳は呆れた様子で見つめる。

「……なんでそうなるの。私はイケメンには興味がないから」
「じゃあどんな人がタイプなんですか?」
「そんなこと、軽々しく言うわけないでしょ。さっ、次回の集まりまでにメニュー案を出さなきゃいけないんだから、とっととやるよ!」
「了解でーす」

 千歳が楓介を狙っていたわけではないとわかり、愛梨はホッと胸を撫で下ろした。

(あぁ、もうどうしていいかわからない……。楓介くんと高田くんの友情を壊したくなくて連絡を絶ったのに、もやもやとイライラが同時にやってくるこの感じ、どう対処すればいいの……)

 愛梨が机に突っ伏したその時だった。

「失礼します」

 背後から声が聞こえ、勢いよく振り返ると、そこには笑顔を浮かべた楓介が立っていた。
< 85 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop