とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
「今までの俺は、好きなことを好きなだけやって生きてきた……のは知ってるよね?」

 きっと留学や仕事のことを言っているのだろう。愛梨は小さく頷いた。

「でも最近、心に変化が訪れてね、そのせいで久しぶりに頭を使っちゃったよ」

 そう言って楓介は笑ったが、いつもと違ってぎこちない笑顔に感じられた。

「最初は居心地がいいなって感じだったんだ。自分と似てるなって思う部分があったり、癒されたり。でも壊れそうな一面を見て放っておけなくて、俺にしか見せない姿に心を奪われた」

 楓介は愛梨の指に自分の指を絡ませ、優しく握りしめた。触れ合う肌が敏感に反応し、体が熱くなっていく。

「傷付いた姿を見て、友達としてじゃなく、そばにいたいって思ったんだ」

 楓介は愛梨の頬にそっと手を触れる。その仕草から、彼の言葉が愛梨に向けられているのだとわかった。

「もしどちらかを選べと言われたら、俺は光一じゃなくて愛梨を選ぶよ」
「……⁉︎」
「でもそれは光一も同じじゃないかな。きっとあいつも尾原さんを選ぶはずだから」

 優しく、愛情に満ちた声が愛梨の耳に届き、瞳からは涙が溢れていく。

「愛梨のことが好きで好きでたまらないんだ。こんな俺だけど、愛梨のそばにいさせてほしい。俺と付き合ってくれませんか?」

 愛梨は大きく首を縦に振る。

「私も楓介くんが好き……。でも一緒にいたら、楓介くんのためにならないと思ったの……」
「うん、愛梨ならそう考えるだろうなって思ってた」
「……楓介くんにはなんでもお見通しだね。隠し事なんて無理みたい」
「そうだよ。だから愛梨は、俺の前では無理しなくていいんだからね」
「……どうして楓介くんは、私が欲しいって思ってる言葉を言ってくれるのかな……おかげで甘え癖がついちゃいそう」
「好きな人を甘やかしたいって思うのは当然じゃない? だから愛梨は、めいっぱい俺に甘えていいんだからね。それが恋人の特権なんだから」

 二人は顔を見合わせると、互いに微笑み合う。愛梨の心は、これ以上ないほどの幸福感に包まれていた。
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