とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
* * * *

 それから三日後の夜。以前二人でランチをした店で、仕事の後に会う約束をした。

 愛梨が店に着くと、祥子はすでに席について待っていた。

 ただずっと俯いたままでいたので、表情までわからない。

 こうして会うのは一ヶ月半ぶりだろうか。今までも会わない期間は長かったが、メールや電話でのやりとりがあったので、そこまで距離を感じていなかった。

 だが今日は、明らかに二人の間に壁を感じる。

 意を決すると、愛梨は祥子がいる席まで歩いていって、「お待たせ」と声をかける。

 すると祥子の方がビクッと震えたのがわかった。

(こんなに弱気な祥ちゃん、高田くんが事故にあった日以来かも……)

 とはいえ、今回のことで愛梨は大きく傷付き、楓介がいなければどう立ち直れたか想像も出来ない。

 複雑な心境のまま、祥子の前に腰を下ろす。

「……何か食べる?」
「ううん、この後に約束があるから」

 本当は約束はしていない。でも今は長時間話すよりも、短時間で大事なことを伝えた方がいいと思った。

 それに今もどこかで見守ってくれている楓介の顔を早く見たかった。

「そっか……わかった」

 二人は飲み物だけを頼むと、口を閉ざして下を向いた。

「……あんなこと言って、本当にごめんなさい。愛梨をすごく傷付けたよね……」

 祥子はずっと下を向いている。本当は面と向かって話したかったが、現実は自分にそんな勇気がないことはわかっている。

 だからこそ、彼女が下を向いている今なら、自分の気持ちを言える気がしたのだ。

「私ね、思っていることをなかなか口に出来なくて、溜め込んじゃう性格なの。だから高田くんが事故にあった時も結構仕事が大変な時期で、だけど誰にも相談出来なくて……。もう限界寸前っていう時に、楓介くんが現れてすごく親身になってくれたんだ」

 あの時は辛くて仕方がなかったが、こうして穏やかに話せるのは、やはり楓介の力が大きく感じる。
< 93 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop