とろけてほどけて愛になる〜友達の恋人の友達は、私を癒して甘やかす〜
* * * *

 店の外に出ると、少し離れたところから楓介がこちらに向かって手を振っていた。

 愛梨は安心したように微笑むと、楓介の元へと小走りで駆け寄っていく。

「お疲れ様。一応外にいるって伝えておこうとしたんだけど、話は出来た?」
「うん、少し緊張したけど、今回はちゃんと話せたと思う」
「それなら良かった」

 そう言って安堵の表情を浮かべた楓介は、愛梨の手を取り、彼の家とは反対の方向へと歩き出した。

「どこにいくの?」
「行ってからのお楽しみ」

 楓介が楽しそうにしているので、不思議と不安はなかった。

 祥子とどんな話をしたのか聞いてこないのは、愛梨の気持ちが整うのを待ってくれているからだろう。その優しさが嬉しかった。

 他愛もない話をしながら五分ほど歩くと、目の前にあのホテルが現れた。

 祥子に暴言を吐かれ、楓介が慰めてくれた場所だが、祥子との話し合いが終わったこともあり、熱く抱き合った記憶の方が鮮明に蘇ってくる。

 あの日と同じように、ロビーを抜けてフロントに向かった楓介は、「予約した部屋、お願い出来ますか?」と声をかけた。

 前回もこんな会話をしていたのだろうか。あの時は混乱していて、周りを見る余裕すらなかったが、白を基調としたラグジュアリーなホテルであることを知る。

「愛梨、行こうか」
「えっ、あっ、うん……」

 その言葉に思わず体がピクッと反応してしまう。

 前回のことが蘇り、期待しているわけではないが、体の奥が熱くなるのを感じた。

「ここってうちが経営してるホテルだから、ちょっと融通がきくんだよね。前回もすぐに部屋を用意してもらったんだけど、あの時はまだ愛梨に素性を明かしてなかったから、こそこそやるのが大変だったな」

 エレベーターが来るのを待ちながら、楓介は懐かしそうに微笑んだ。

「あの日はたまたまだったの?」
「実はレストランを予約してたんだ……まぁ部屋も押さえてたけど」

 到着したエレベーターに乗り込むと、他にもお客がいたため、二人は口を閉ざした。

 エレベーターは最上階に到着し、乗っていた客が降りていく。二人もその後に着くように、フロアへ足を踏み入れた。

 店内の照明は落とされ、テーブルの上のキャンドルが静かにゆらめく。

 楓介に手を引かれ、レストランの奥の席へ歩きながら、窓から望むビル群の煌めきに心を奪われた。
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