桜花転生奇譚
「玲、前に言ったよね。周りが敵になっても、僕は玲の味方だって。そんなに、僕のことが頼りない?」

「うるさい、お前に何が分かるんだ」

「……」

玲さんの発言に、今度は蒼さんが黙った。

「…………分からないよ。でも、僕は仮にも幼なじみだ。あの両親とは違って、ちゃんと玲のことは見てきたつもりだし、誰よりも分かっているつもりだよ」

「……お前ってやつは、よく分からんな。あの日以降、喧嘩を振ってくるようになったかと思えば、最近じゃ俺すらもあだ名で呼ぶ。なんとなく理由は分かるが、どうしてだ……どうして、そこまでする」

「どうしてって……僕は、玲に辛い思いをして欲しくない。これ以上、玲の辛そうな顔を見たくないんだ……喧嘩してれば、玲の気が紛れるかなって思って」

「……はっ、優しいな。お前は……うん、まぁ……そうだな。正直、すごく助かってるんだよな。あの喧嘩……けど、あれから何年経ってると思っている。俺は、もうあの時のことは気にしてないからな」

……蒼さんがよく玲さんに喧嘩を吹っかけるのって、ちゃんと理由があったんだ……。

「玲、もう1回聞くよ。玲は、それでも――」

「蒼、もういい。もういいんだ……もう、大丈夫だから」

普段よりも弱い声で、玲さんは答える。
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