桜花転生奇譚
「……だけど、やっぱり諦めたくないな……好きだもん」

口から、思わず零れてしまう。しまったと思った時には、もう遅い。ひーちゃんは、しっかりと僕の言葉を拾っていた。

「……なんの話し?」

「……ううん。何でもない」

僕がそう答えれば、ひーちゃんは「ふぅん」と言ったっきり、特に詮索してくることはなかった。……有難い。

ここに、みどりかいっちゃんがいたら、根掘り葉掘り聞かれていたと思う。良かった、ここにひーちゃんしかいなくて。

「……そうだ、少し待ってて」

いつもよりも遅い速度で食事をしていると、不意にひーちゃんは立ち上がると台所の方へと向かった。

「……?」

その行動を疑問に感じながら食事を進めていると、ひーちゃんが戻ってくる。今度は、手に湯呑みを持っていた。

「はい。どうぞ」

ひーちゃんは、手に持った湯呑みを僕の近くに置く。

「生姜湯。それ飲んで、ゆっくり休みなよ……食事の速度も落ちてきたし、そろそろ食べ終わるんじゃないかなって」

「……ありがとう」

匙を置いて、僕は生姜湯を飲んだ。……美味しい、けど、いつもみたいに一気に飲めないな。

「……」

時々生姜湯を挟みつつ、ゆっくりと食事を続ける。半分食べたところで、僕は食事を終えることにした。

「……ご馳走様でした」
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