桜花転生奇譚
「……もう下げても大丈夫そう?」

「……うん……」

ひーちゃんの質問に少し間を置いてから答えれば、治まっていた頭痛がまたズキズキと痛み出す。

「……ごめん。ひーちゃん、ちょっと寝かせて……今は、部屋へ戻るのもきついかも」

「うん。いいよ……皆には、ちゃんと説明しておくから」

僕は、申し訳なく思いながらも茶の間の空いた場所に横にならせてもらう。すぐに、僕は眠りに落ちた。



ヒヤリとした感覚に、僕はふと目を覚ます。ぼんやりとする視界に、見慣れた青みがかった黒髪が見えた。……玲だ。

「……悪い、起こしたか?」

「……れい、いや……もち……」

僕が体を起こせば、額に乗せられていたタオルが、いつの間にか体にかけられていた白い羽織の上に落ちる。見覚えのある羽織に、ひーちゃんの顔が浮かんだ。

……これ、ひーちゃんの隊服の……。

「わざわざ、言い直さなくていい。あと、体を起こすな。熱があるんだ」

僕は、素直に再び横になった。

「……熱」

玲の言葉の中にあった単語を復唱すれば、玲は「そうだ。大分高熱だったぞ……といっても、今はある程度は下がったがな。今は、微熱だ」と言って体にかかっていた羽織をかけ直してくれた。

……玲も玲で、優しいんだよな。ひーちゃんみたいだ。

「……で、体調はどうなんだ?」

「体がだるい。でも、朝よりかは全然楽」

玲の質問に答えると、玲は「そうか」と一言返すと額にタオルを乗せる。
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