腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
「萌音、手……」
 ん?
 あまりに紫苑さんに見惚れていたせいで、ジェラートに指を突っ込んでいたではないか。
 なんという失態か。
「うわ、私ってば、もう~」
 洗面室に行こうと急いで立ち上がったそのとき。
「そういう抜けてるところもかわいいな」
 ふいに腕を取られ、引き寄せられた。
 目を泳がせながら見上げると、なぜか悪い笑みが返ってきて……。
「あ、あの紫苑さん……っ」
 舌先でジェラートがついた指先を舐められ、ゾクッとする。
「うん、さっきよりうまい」
 扇情的なまなざしを向けられ、自然と胸が高鳴っていく。赤い舌が指に絡む様はなんだかエロティックでごくりと息を呑んだ。
 なんだか体が疼く。
 不思議と妙な気持ちになってきてしまった。
 わ、私ってばなにを想像しているんだか!
 こんな気持ちになるなんてふしだらすぎる。
「そんなにとろけた顔してどうした?」
 私の心の内をすべて見透かしているかのように、紫苑さんが悪戯っぽく笑う。伏せた睫毛が目もとに影を作っていて、それもまた絵になる美しさだ。
「べ、べつになにも……ああっ、」
 ふいに耳朶を甘噛みされ、不覚にも吐息が漏れてしまった。
「こんな色っぽい姿を見せられたら、もう我慢できない」
 耳元で囁かれた言葉に再びお腹の奥が疼いた。
 視線が交わるとどちらからともなく唇が重なり合い、そのままお姫様抱っこされ隣の寝室へ。
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