腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
ドアの横に立つのは、一年半ほど前から城崎製薬の顧問弁護士を務める鹿波紫苑さんだ。
タイトな濃紺のスーツに身を包んだ彼からは、大人の気品があふれている。
前に父から聞いた話によると、彼はかなり優秀な弁護士だとか。確か、年は私よりふたつ上の三十歳だったはず。
身長は百八十センチを超えているだろうか。背が高めの私が横に立っても、頭ひとつ分は大きい気がする。黒の短髪からは爽やかさを感じる。加えて手足が長く、スッと通った鼻梁にちょっと目尻がたれ気味の柔和なアーモンドアイを持つ彼は、とんでもなく美形である。
「社長、娘さんのことがかわいいからと言って、あまり困らせてはダメですよ? 萌音さん、東郷部長が探していましたよ」
薄型の唇がほんのりと弧を描く。
やんわりと父に釘を刺す鹿波さんはまさに私の求めていた救世主そのものである。
「東郷部長が探しているみたいだから、私もう行くね」
ひらひらと手を振って、ドアの方に一直線。なぜか鹿波さんも着いてきて。
ちょっと驚きながら、チラッと彼を見上げる。
「父になにか用事があったのではないのですか?」
エレベーターを待つ中、そう尋ねてみる。
「執務室に忘れ物を取りに来たら、おふたりの声が聞こえてきて。萌音さんがお困りのご様子だったので、とっさに声をかけました。ちなみに……」
彼が少し屈んで、私の耳元に唇を近づけてくる。すると、ふわりと爽やかな石鹸の香りが鼻を掠めた。なんだか不意打ちすぎてドキッとしてしまった。
タイトな濃紺のスーツに身を包んだ彼からは、大人の気品があふれている。
前に父から聞いた話によると、彼はかなり優秀な弁護士だとか。確か、年は私よりふたつ上の三十歳だったはず。
身長は百八十センチを超えているだろうか。背が高めの私が横に立っても、頭ひとつ分は大きい気がする。黒の短髪からは爽やかさを感じる。加えて手足が長く、スッと通った鼻梁にちょっと目尻がたれ気味の柔和なアーモンドアイを持つ彼は、とんでもなく美形である。
「社長、娘さんのことがかわいいからと言って、あまり困らせてはダメですよ? 萌音さん、東郷部長が探していましたよ」
薄型の唇がほんのりと弧を描く。
やんわりと父に釘を刺す鹿波さんはまさに私の求めていた救世主そのものである。
「東郷部長が探しているみたいだから、私もう行くね」
ひらひらと手を振って、ドアの方に一直線。なぜか鹿波さんも着いてきて。
ちょっと驚きながら、チラッと彼を見上げる。
「父になにか用事があったのではないのですか?」
エレベーターを待つ中、そう尋ねてみる。
「執務室に忘れ物を取りに来たら、おふたりの声が聞こえてきて。萌音さんがお困りのご様子だったので、とっさに声をかけました。ちなみに……」
彼が少し屈んで、私の耳元に唇を近づけてくる。すると、ふわりと爽やかな石鹸の香りが鼻を掠めた。なんだか不意打ちすぎてドキッとしてしまった。