腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
 幼い頃から運命の相手が決まっていて、その男性と生涯を添い遂げられる、まさに恋愛漫画のヒロインさながらである。
 プロポーズされたら、もちろん答えはイエス一択だ。そこからはとんとん拍子で話が進むに違いない。
 とにかく今日の私はとても気合いが入っていて、お気に入りの華やかなペールブルー色のワンピースを着ている。いわゆる勝負服である。今朝だっていつもより早く起きて、ヘアメイクにも二時間ほどかけた。
 それなのに、これはいったいどういうことだろうか。
「──単刀直入に言うけど、婚約破棄したいんだ」
 頼んだマドレーヌを食べようとした瞬間、俊さんから衝撃的な話を切り出され、思わず手に持つフォークを滑らせてしまった。
「こ、こんやく……はき?」
 こんやく……いや、(こん)(にゃく)って言ったのかも。
 うん、きっとそうに違いない。
 蒟蒻……はき?
 なんじゃそりゃ。
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