腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
「もちろん本気だ」
 彼がテーブルの上で両手を組み、フッと笑う。
 私にこの提案をしてくるなんて、あまりに人選ミスすぎやしないだろうか。
 恋愛経験に乏しく、恋愛漫画オタクの私が、鹿波さんのようなハイスペックな男性と釣り合うとは到底思えないのだけれども。
 いったいどういう判断基準なの?
「なぜ私なんですか?」
 自ずとそんな疑問が漏れた。
「梓川社長からの見合い攻撃に困っていただろ? 俺もちょうど、父親からそろそろ身を固めろと強く言われていてね。だからちょうどいいと思ったんだ」
「同じような状況であるのは理解しましたが、婚約者のフリというのは……」
 私のような立ち回り下手な人間には、いささかハードルが高い。なによりうちの会社で鹿波さんに憧れている女性社員は非常に多いので、婚約者のフリなどしたら敵を作る形になってしまうではないか。
 そんなの無理過ぎる。私は平穏な毎日を送りたいのだ。
 さて、どうお断りしようか。
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