腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
「萌音さん、そんなに気負わなくても大丈夫ですよ」
 そう言われても、ね?
「なんだか周りの方の視線が痛いです」
 紫苑さんの美貌に魅せられた女性たちの視線がそのまま隣の私に流れてきて、値踏みするように頭のてっぺんから足の先まで見てくるものだから、居心地が悪くて逃げたい気分である。
「皆、萌音さんに見惚れているんですよ。すごく綺麗だから」
 パチンとウィンクしながら、紫苑さんがおかしなことを言う。
 綺麗だなんて……生まれてから一度も異性に言われたことのない言葉である。これはおそらく、いや絶対にお世辞だろう。
 猫かぶりモードの紫苑さんはとっても激甘で、とことん私を甘やかしてくる。こんなパーフェクトマンに煽てられたら、自然と頬が上気していくのは仕方がないことだと思う。
 髪を直す仕草をしながら、そっと頬に触れてみる。
 うん、やはり熱い。
 緊張からか、なんだか喉もカラカラだ。
< 35 / 115 >

この作品をシェア

pagetop