腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます

初恋をこじらせた男の独白

【初恋をこじらせた男の独白】

 これは俺、鹿波紫苑がまだ十一歳の時の記憶である。
 その話は俺が同級生のやつらに河原でいちゃもんをつけられた場面から始まる。
「紫苑、また先生に俺たちのことを告げ口したんだって?」
「家が金持ちだからって調子に乗り過ぎ~」
 河川敷に同級生たちの意地悪な声が響く。
 この頃の俺は、クラスの中心にいる陽キャ男子三人グループに目をつけられていた。その発端は、いじめられていた気弱なクラスメートを助けたことだ。
 物を隠されたり、金を恐喝されている姿を偶然見かけてしまい、正義感を振り翳して注意した。そのうえ担任にも言いつけたことで、三人は厳しく担任から説教された。
 それが気にくわなかったようで、それ以来いいがかりをつけてくるようになったのだ。
 だが、そんな俺を助けてくれるやつはいない。
 いじめから救ってやった気弱なクラスメートも、見て見ぬふりだった。
 両親に告白すれば、すぐにでも対処してくれただろう。でもそれは俺の中でかっこ悪いことで、自分の力で解決しようと必死だった。
 とにかく両親に認められたくて、褒められたくて。
 いろんな顔を使い分け始めたのは、この頃からだったと思う。
 どんな時も完璧で、強く聡明な人間でありたい。弱い部分など、家族であっても見せたくはない。
 意固地になっていたのは、優秀な兄の存在が大きかった。
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