腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
 三人はおどおどとし始め、しまいにはリーダー格の男子が彼女に殴りかかろうとしたのだが。
 素早く身を翻した彼女によってその男子の方が地面に押さえつけれる形になり、その場にいる誰もが息を呑んだ。
「私、三歳の頃から空手と護身術を習っているの。男子にだって負けないわ。まだ抵抗するなら、容赦しないわよ」
 勇ましい彼女を見て、心臓が高鳴った。
「もうしないから! 悪かったって! 降参だ、降参」
 しまいには、押さえつけられた男子の方が泣き出す始末だった。
「この子のことももう二度と虐めないで。分かった?」
「わ、かった! もう関わらない!」
 リーダーの男子の体が解かれると、三人組は一目散に河原を駆け上がっていった。
 結局この日を境にやつらに絡まれなくなったので、萌音には心から感謝している。
「あなた大丈夫? ケガはない?」
 俺の顔を覗き込みながら、彼女がそう聞いてくる。
 切れ長な奥ぶたえの瞳は、どこまでも澄んでいた。
「……ないよ。助けてくれてありがとう」
「ならよかった」
 さきほどまで勇ましかった彼女が、今度は屈託なく笑う。
 なんてかわいいんだろう。
 そんな姿を見せられて、恋に落ちないわけがなかった。
 これが俺の初恋だ。
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