腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
 それからというもの、ますます紫苑さんを避けるようになった。
 何度かデートの誘いがあったが、講演会前で仕事が忙しいと言ったら紫苑さんは納得してくれた。
 それは決して嘘ではないからセーフだろう。
 会社ではもともと顔を合わせることは少なかったので、それだけがせめてもの救いである。
 やはり私は仕事に生きるしかない。
 そんな結論を胸に抱きながら私はその日、従妹の結婚式に参列していた。
 自分の状況が状況なだけに気持ちが少し複雑ではあるが、従妹とは小さい頃から仲が良く大人になってからも頻繁に食事に行く仲なので、心から祝いたい一心で拍手を送ってみる。
 お相手は都内の大学病院に勤務する外科医の男性で、従妹よりも五個年上らしい。その病院で看護師をしている従姉の猛アタックでふたりは交際に至ったとか。
 そういえば、従妹は昔から猪突猛進なところがあって、こうと決めたらどこまでも突き進む性格だった。
 看護師になると決めたのも確か小学生の頃で、高らかに宣言されたっけ。
 純白のドレスに身を包む彼女は、本当に幸せそうでキラキラと輝いて見える。
< 62 / 115 >

この作品をシェア

pagetop