腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
「次は萌音の番かもな。萌音のウエディングドレス姿が楽しみでならないよ」
「もうパパってば。気が早いわよ」
 そんなやり取りをしながら、隣に座る両親が見つめ合っている。
 紫苑さんと私がもうじきゴールインするのだと信じて疑わない両親を前に、耳を塞ぎたくなってしまう。
 両親が期待する未来はないのだ。
 それを伝えたら、きっとふたりはがっかりするだろう。
「ちょっとお手洗いに行ってくる」
 一旦気持ちを落ち着かせたくて会場の外へ。そのまま会場近くにあるテラスに出てソファーに座り込んだ。
 どう両親に話そうか。
 紫苑さんのことも、ずっとこのまま避け続けるのも不自然すぎるし。
 しばらく悶々と考え込んでみても、いい案がまったく思い浮かばない。
 そのうちにバッグの中に入れてあるスマホが震えた。
 母からの電話だった。
 お手洗いに行くと言ったきり、なかなか私が戻らないので電話してきたのだろう。
 ひとまず戻らなくては。
 テラスを後にし、会場の方に歩きだしたその矢先のこと。
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