腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
紫苑さんに手を引かれ歩きだすと、いつの間にか雨は上がっていた。
「あの……」
実家近くの公園が見えてきたところで紫苑さんに声をかけると、彼が足を止め振り返った。
先ほどまで降っていた雨のせいで髪の毛が少し濡れている。それがどこか色っぽくてドキッとした。
「体冷えたよな」
紫苑さんが着ていたスーツの上着を脱いで私の肩にかけてくれた。
「なにからなにまでありがとうございます」
「このくらい普通だろ。風邪を引くといけないから急ごう。実家まで送っていく。あ、その前にケーキ屋寄ってく? こっちのケーキは崩れていたから、俺が食べとく」
やわらかな笑みを浮かべ、再び歩き出そうとする紫苑さん。
「崩れても味は美味しいので、このままで大丈夫です。あのそれよりも……紫苑さんと少しお話がしたくて」
「話? 分かった。あそこで話そうか」
そのまま公園の四阿に向かい、並ぶ形で腰を下ろした。
「俊さんの件、どうやって調べたんですか?」
沈黙がなんとなく気まずくて、すぐに口を開いた。
「最近、妙にアイツが萌音に執着していることを知って、これはなにかあるんじゃないかと探偵に依頼したんだ。そしたら、芋づる式に城崎製薬の記事の件もアイツの仕業だと分かった」
「そうだったんですね」
首を何度か縦に振っていると視線を感じ、横を向く。
「二度とアイツを萌音には近づかせないし、記事の件でもきっちり罪を償わせる。会社のことも、もう心配はいらない。被験者も納得したうえで、治験を続けてくれるそうだ。融資の件も問題ない」
「本当ですか? よかった……」
「それにしても、さすが萌音だな。アイツに腕を掴まれたとき、うまく捻って逃げだしていたじゃないか。空手や護身術を習っていただけはあるな」
胸に手を置きながら安堵していたら、紫苑さんの楽しげな声が聞こえた。
私、紫苑さんに習い事の話をしたことがあったっけ?
……いや、ない気がするのだけれども。
「あの……」
実家近くの公園が見えてきたところで紫苑さんに声をかけると、彼が足を止め振り返った。
先ほどまで降っていた雨のせいで髪の毛が少し濡れている。それがどこか色っぽくてドキッとした。
「体冷えたよな」
紫苑さんが着ていたスーツの上着を脱いで私の肩にかけてくれた。
「なにからなにまでありがとうございます」
「このくらい普通だろ。風邪を引くといけないから急ごう。実家まで送っていく。あ、その前にケーキ屋寄ってく? こっちのケーキは崩れていたから、俺が食べとく」
やわらかな笑みを浮かべ、再び歩き出そうとする紫苑さん。
「崩れても味は美味しいので、このままで大丈夫です。あのそれよりも……紫苑さんと少しお話がしたくて」
「話? 分かった。あそこで話そうか」
そのまま公園の四阿に向かい、並ぶ形で腰を下ろした。
「俊さんの件、どうやって調べたんですか?」
沈黙がなんとなく気まずくて、すぐに口を開いた。
「最近、妙にアイツが萌音に執着していることを知って、これはなにかあるんじゃないかと探偵に依頼したんだ。そしたら、芋づる式に城崎製薬の記事の件もアイツの仕業だと分かった」
「そうだったんですね」
首を何度か縦に振っていると視線を感じ、横を向く。
「二度とアイツを萌音には近づかせないし、記事の件でもきっちり罪を償わせる。会社のことも、もう心配はいらない。被験者も納得したうえで、治験を続けてくれるそうだ。融資の件も問題ない」
「本当ですか? よかった……」
「それにしても、さすが萌音だな。アイツに腕を掴まれたとき、うまく捻って逃げだしていたじゃないか。空手や護身術を習っていただけはあるな」
胸に手を置きながら安堵していたら、紫苑さんの楽しげな声が聞こえた。
私、紫苑さんに習い事の話をしたことがあったっけ?
……いや、ない気がするのだけれども。