腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
「し、紫苑さん! もういきなりびっくりするじゃないですか~」
 文句口調だが、声が弾んでいるような気がするのできっとセーフだろう。
 萌音の肩に頬を寄せれば、彼女が「くすぐったいです」と言ってクスクス笑う。
「昨日のこと、幸せな時間だと思ってくれたんだ?」
 萌音がそんなふうに感じてくれたことがなによりうれしかった。
「はい。紫苑さんの温もりが本当に心地よくて心が満たされました」
「そうか。だったら、もう一度試してみるか?」
 あまりにかわいいから、揶揄いたくなってそんな意地悪めいたことを言ってみる。
「はい、ぜひ! 今度こそチュンチュンシーンを経験してみたいです」
 思いのほか、萌音が話に乗ってきたものだから、己の欲に負けてしまいそうになっている。昨夜の萌音の色っぽい姿を思い出し、ムラムラとしだしてしまったが。
 このことは、俺の心の内にだけそっとしまっておこう。
 そして俺は紳士の仮面を被り、牙を隠して微笑む。
 ひとまずこれ以上、引き伸ばすのもかわいそうなので、萌音にチュンチュンシーンの真実を伝えることにしようか。
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