腹黒策士な弁護士が甘い王子様の仮面を被ってモブの私を誘惑してきます
 八月に入り、猛暑日が続いている。
 萌音と正式に付き合い始めて約一か月半が経つが、関係は良好である。
 今日は、ふたりで旅行を楽しんでいる。
 早朝に新幹線で東京駅を出て(せん)(だい)駅へ。そこから(せん)(せき)線に乗り換え、40分ほどで目的地の松島(まつしま)海岸駅へと着いた。
 雲ひとつない真っ青な空が広がり、とても気持ちがいい。
 乗ってきた列車が過ぎ去ると、高台にあるホームからは駅前広場と松島湾に浮かぶ様々な島々が見えた。
「ああ、やっと聖地に着いてなんだか感激です!」
 街並みを見下ろしながら、萌音が目を輝かせる。
 うれしそうな姿を見て、自然と破顔する。
 旅行先を松島にしたのは、萌音の希望を叶えてやりたかったから。
 彼女の推し作家の恋愛漫画の作中にカップルで松島旅行を楽しむ描写があり、ずっと訪れたかった場所だったようだ。
「さっそく回ろうか」
「そうですね」
 改札を出て、ふたり並んで歩き出す。
< 99 / 115 >

この作品をシェア

pagetop