トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
機体がゆっくりとヘリポートへと着陸する
凄まじいローター音が周囲に轟く中、スライドドアが勢いよく開かれた
「搬送開始! 初療室へ急ぐぞ!」
私はストレッチャーの頭側をしっかりと支え、患者とともにヘリの機外へと飛び出した
ER(救急外来)のスクラブに身を包んだ梓は、私と目が合ったその一瞬だけ僅かに目元を和らげる
けれど、次の瞬間には完全にすべてを冷徹に見据える“救命センターの司令塔”の顔へと戻っていた
「ここからは私たちが受け取るよ」
その一言に力強く頷き、私たちは連携してストレッチャーを押し、病棟のエレベーターへと急いだ
「二十代男性。自宅リビングでの急性発症」
エレベーターが降下する間、私の申し送りが淀みなく始まる。
「胸背部痛の発生から約四十分が経過。
心タンポナーデを併発しており、現場にて心嚢穿刺を施行。
心嚢液を吸引済み。エコーにて上行大動脈に明確なフラップを認めており、スタンフォードA型の大動脈解離。下肢虚血の兆候あり。
機内で気道確保のため挿管済み。
現在のバイタルは血圧84/46、脈拍142」
梓は一言も挟むことなく、私の言葉を脳内のカルテに刻むように聴き入っている
周囲を固めるスタッフたちも同様に、張り詰めた空気の中で私の言葉を誰一人として聞き逃さない
「末梢ルートは二本確保。血圧コントロールのための降圧薬と、適切な輸液を継続中。心臓血管外科への事前コールも完了しています」
「了解」
梓が即座に、鋭い口調で反応する。
「心臓血管外科のチームはすでに初療室に待機。緊急手術のためのオペ室も完全なスタンドバイ状態で立ち上がってる。人工心肺の準備と輸血の手配も、すでに手配済みよ」
さすが、と言うほかなかった
こちらがヘリ機内で必要だと判断したリソースが、地上ではすでに完璧な形で用意されている
エレベーターの扉が開き、そのまま息つく暇もなくERのフロアへ向かう
自動ドアが開いた瞬間、救命センター特有の、生と死がせめぎ合うあの極限の緊張感が全身の肌を打った
「ドクターヘリ搬送、ER入ります!」
スタッフの鋭い声が響き渡り、患者が瞬時に処置ベッドへと移される
それを合図に、一気に十人以上の医療スタッフが完璧な動線で動き始めた
「即時採血!」
「緊急輸血、接続急いで!」
「ポータブルレントゲン、スタンバイ!」
「心エコーの準備!」
次々と飛び交う遮二無二な指示
その混沌とした戦場の中心で、梓は一歩も引くことなく全体を見渡していた
患者の刻一刻と変化する状態
集まった医師たちの動き
的確な看護師の配置
そのすべてを網羅しながら、迷いのない指示を出していく彼女の姿は、まさにERを支配する本物の司令塔だった
凄まじいローター音が周囲に轟く中、スライドドアが勢いよく開かれた
「搬送開始! 初療室へ急ぐぞ!」
私はストレッチャーの頭側をしっかりと支え、患者とともにヘリの機外へと飛び出した
ER(救急外来)のスクラブに身を包んだ梓は、私と目が合ったその一瞬だけ僅かに目元を和らげる
けれど、次の瞬間には完全にすべてを冷徹に見据える“救命センターの司令塔”の顔へと戻っていた
「ここからは私たちが受け取るよ」
その一言に力強く頷き、私たちは連携してストレッチャーを押し、病棟のエレベーターへと急いだ
「二十代男性。自宅リビングでの急性発症」
エレベーターが降下する間、私の申し送りが淀みなく始まる。
「胸背部痛の発生から約四十分が経過。
心タンポナーデを併発しており、現場にて心嚢穿刺を施行。
心嚢液を吸引済み。エコーにて上行大動脈に明確なフラップを認めており、スタンフォードA型の大動脈解離。下肢虚血の兆候あり。
機内で気道確保のため挿管済み。
現在のバイタルは血圧84/46、脈拍142」
梓は一言も挟むことなく、私の言葉を脳内のカルテに刻むように聴き入っている
周囲を固めるスタッフたちも同様に、張り詰めた空気の中で私の言葉を誰一人として聞き逃さない
「末梢ルートは二本確保。血圧コントロールのための降圧薬と、適切な輸液を継続中。心臓血管外科への事前コールも完了しています」
「了解」
梓が即座に、鋭い口調で反応する。
「心臓血管外科のチームはすでに初療室に待機。緊急手術のためのオペ室も完全なスタンドバイ状態で立ち上がってる。人工心肺の準備と輸血の手配も、すでに手配済みよ」
さすが、と言うほかなかった
こちらがヘリ機内で必要だと判断したリソースが、地上ではすでに完璧な形で用意されている
エレベーターの扉が開き、そのまま息つく暇もなくERのフロアへ向かう
自動ドアが開いた瞬間、救命センター特有の、生と死がせめぎ合うあの極限の緊張感が全身の肌を打った
「ドクターヘリ搬送、ER入ります!」
スタッフの鋭い声が響き渡り、患者が瞬時に処置ベッドへと移される
それを合図に、一気に十人以上の医療スタッフが完璧な動線で動き始めた
「即時採血!」
「緊急輸血、接続急いで!」
「ポータブルレントゲン、スタンバイ!」
「心エコーの準備!」
次々と飛び交う遮二無二な指示
その混沌とした戦場の中心で、梓は一歩も引くことなく全体を見渡していた
患者の刻一刻と変化する状態
集まった医師たちの動き
的確な看護師の配置
そのすべてを網羅しながら、迷いのない指示を出していく彼女の姿は、まさにERを支配する本物の司令塔だった