トップアイドルは白衣の天使に恋をする-Rebirth-
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すると優朔さんと蒼依くんが同時に立ち上がった

二人とも明らかに落ち着かない様子だった

ずっと寝室の方を気にしていたのだろう

「先生……」

優朔さんが口を開く

「奏は……」

普段冷静な優朔さんらしくない声だった

日橋先生はそんな二人を見て静かに頷く

「命に関わる状態じゃない」

その一言に二人の肩から力が抜けるのが分かった

蒼依くんが目を閉じる

「よかった……」

小さく漏れた本音

日橋先生は続ける

「ただし」

その言葉に再び空気が引き締まる

「身体はかなり消耗してる」

「高熱もあるし脱水もある」

「何より精神的なダメージが大きい」

先生はソファへ腰掛けながら言った

「簡単に言えば、身体も心も限界まで頑張りすぎた状態だ」

誰も言葉を発さない

全員分かっていた

あのパニックを見れば

あの涙を見れば

限界だったことくらい

「身体だけなら点滴して数日休めば回復するだろう」

「問題はこっちだな」

そう言って自分のこめかみを軽く叩いた

精神面

その言葉を誰も口にはしなかった

でも全員理解していた

日橋先生が振り返る

「記事が出て何時間?」

「3時間です」

陽貴くんが答える

「じゃあまだ始まったばかりだな」

低い声だった

誰も言葉を返せない

始まったばかり

つまりこれからもっと酷くなる可能性があるということだ

日橋先生は静かに続ける

「高熱もある」

「パニックも起こしてる」

「今日は絶対に一人にしないであげてほしい」

その言葉に全員が頷く

「スマホもできるだけ触らせない方がいい」

「SNSは毒になる」

先生の表情は真剣だった

救急医として

何人もの患者を見てきた人の顔

「今は身体を回復させることが優先」

「戦うのはその後」

部屋が静まり返る

誰も反論しない

その通りだからだ

そして改めて思う

奏くんが今必要としているのは薬だけじゃない

安心して眠れる場所

信じてくれる仲間

それが何よりの治療なのかもしれなかった

その時

日橋先生がふと陽貴くんたちを見る

「ひとつだけ言っておく」

全員の視線が集まる

先生は静かに続けた

「今の桜庭くんに必要なのは、解決策じゃない」

「……え?」

蒼依くんが小さく声を漏らす

「もちろん問題は解決しなきゃいけない」

「だが今の彼は、問題を解決する前に壊れかけてる」

先生の声は穏やかだった

「今は励まそうとしなくていい」

「無理に元気づけようともしなくていい」

「ただ、他の誰でもない君たちがそばにいてあげる事が大事だ」

「メンバーに見放されはしないか」

「どう償っていけばいいんだ」

「彼はきっと今そんな思考に支配されている」

そして

「何があっても、自分たちは離れないと彼に分からせてあげることが大切だ」

「…そうだよな」

陽貴くんの声

その言葉には強い決意が込められていた

長年一緒に歩いてきた仲間だからこそ

今だけは

何も言わなくてもいい

ただ隣にいることが一番大切なのかもしれなかった
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