お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 でも……あんなことを言っていたのに、どうして。

 食事のいい匂いに、ふっと意識が気が緩んでいたのだろう。またあれこれ考えそうになっていると――

 ぐう~……

 信じられないほど間の悪い音が、私のお腹から静かな部屋に響いた。

 やだ、緊張感なさすぎでしょう……!

 アタフタとお腹を押さえる私を見て、はる君が堪えきれないように笑う。


「はは、仕事終わりだから、お腹すくよね。まずは食事にしよう……? 俺もお腹すいたし」


 その笑顔に、張り詰めていた緊張の糸が、ほんの少しだけ緩む。笑うと端整な顔が少しだけあどけなく見えるのは、昔のままだった。





 
 椅子に座って向かい合うと、彼の手配でホテリエが現れ、銀のドームを静かに持ち上げた。

 立ちのぼる湯気の向こうに現れたのは、赤ワインソースをまとった牛フィレのロースト。丁寧に焼き上げられた断面はほのかに薔薇色で、マッシュポテトと彩りを添える季節野菜が添えられている。

 一礼を残し、ホテリエは音もなくその場を下がった。

 食事は、まるで高級レストランにいるみたいだった。

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