お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 声を震わせながら告げると、涙で揺れる世界の向こう側で、はる君が戸惑いの声を上げるのが聞こえた。


「……え?」


 大きく見開かれる彼の澄んだ瞳。その視線に私も戸惑ったが、一度溢れてしまったら、もう気持ちが留まることはなかった。


「別れる少し前、はる君の部屋に忘れ物を取りに行ったとき、はる君が隠していたものを見つけちゃったの。絶対にはる君が見られたくないって思っていたものだと思う」
「隠していたもの……?」

「あのデートの約束の日に陸君と話していたことも聞いちゃったの。いくら私がいないからって、あんな本心……私との待ち合わせ前に話さなくてもいいのに」
「陸? 本心?」


 ここまで言っても伝わらないものなの? まったく話が通じていない様子のはる君に、どうしようもなく悲しくなった。


「好きな人に自分好みの女優と比べられたり、私には固執しないなんていわれたら、傷つくにきまってるよ」


 本当に忘れてしまったのか。それとも知らないフリなのか。どっちなのかは分からないけれど、気付けば喉の奥が熱くなり口にしていた。

< 111 / 339 >

この作品をシェア

pagetop