お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
「……社長室で、陵介さんと少し話していたんだ。今週末の決起会についても、いくつか進行上の確認をしておきたいことがあってね」


 穏やかな声でそう答えながら、彼は周囲へ軽く会釈を返す。そしてそのまま迷いなく、まっすぐ私のもとへ歩いてきた。

 私に用事があるらしい……?

 父同士の付き合いは長く、家族ぐるみの親交もある。そんな事情から、社内では私たちが幼馴染だという話は、いつの間にかそれなりに広まっていた。おそらく父が話したのだろう。
 向坂家の娘である私に、彼が声をかけること自体は、事情を知る人間からすれば不思議ではないのだろう。けれど、わざわざ休憩室まで足を運び、私を名指しで呼び、当然のようにこちらへ向かってくる親しさとなれば話は別だ。
 興味を含んだざわめきと視線が、いっせいにこちらへ集まる。

 私は一気に肩のあたりがそわそわと落ち着かなくなる。

 幸いうちの会社には、下世話な噂を流したり、あからさまに揶揄したりするような人はいない。けれど、それでもこれだけ注目を浴びれば気後れしてしまう。私は手元を落ち着きなく弄った。

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