お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 車はやがて大きな複合施設の敷地内へ入り、庭園を囲むように建てられた料亭の門の前で静かに停車した。

 はる君は私を気遣わせないように、料亭の前で私だけ降ろし、そのまま車で店の裏手に回った。駐車場で秘書と落ち合っていくとのことだった。

 お礼を告げて車を降りた私は、重厚な門構えと向き合った。

 黒塗りの木戸の向こうには、手入れの行き届いた日本庭園が広がっている。石畳の小道の両脇には青々としたもみじが揺れ、足元には柔らかな灯りの行灯が並んでいた。六月の湿り気を帯びた空気の中で、庭の緑がしっとりと夜に溶け込んでいる。

 会場に入ると、すでにイベントに関わる主要メンバーが集まっていた。今日は決起会のために、庭園ごと貸し切られていると聞いている。

 大道寺グループの本部の幹部、グランツハピネスのウエディング部門、そして私たち向坂インターナショナルのコアチーム。さらに、メディア関係者など今回のブライダルイベントに関わるスタッフが顔を揃えている。

 総勢二十名ほどのだろうか。

 大広間は聞いていた通り、美しい日本庭園を一望できる落ち着いた空間だった。


「みのり!」


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