お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 短い挨拶だったのに、不思議と自然に場の空気を引き込んでいく。そのまま乾杯とともに歓談の時間へ移ると、張り詰めていた空気も和らぎ、会場は一気に華やかな賑わいに包まれた。

 立食形式の会場では、参加者たちがグラスや小皿を片手に、あちこちで談笑している。

 里子は上司の元へ向かい、私は鶴岡さんと一緒に、関わりの深い取引先や関係者へ挨拶をして回った。

 最初は緊張していたけれど、鶴岡さんがさりげなく話を繋いでくれたおかげで、どうにか笑顔で対応できた。

 そうして何人もの関係者と挨拶を交わし、気づけば会場に入ってから一時間近くが経っていた頃――




「おや、鶴岡さんではありませんか」


 少し離れた場所から、低くよく通る声がかかった。
 振り向くと、ワイングラスを手にした体格のいい中年の男性がこちらへ歩いてくる。

 ふくよかな胴回りに、どことなく品定めするような視線。面識はないけれど、この場にいるということは、今回のイベントの関係者なのだろう。
 その視線が、鶴岡さんを通り越して私の全身を滑った気がして、とても戸惑ったが、私も鶴岡さんの隣で気を引き締め頭を下げた。


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