お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 胸がいっぱいで、苦しくて、どうしようもなかった。

 戸惑った声が背中越しに落ちるが、それでもはる君を離せなくて、震える声で言った。


「さっきは……本当にありがとう」


 言葉にすると、さらにまた喉の奥が熱くなって、声が詰まる。


「みのり、それはさっきも言ったが――」
「いいから、ちょっとだけ聞いて」


 私は小さく首を振る。

 統括部長の姿が見えなくなったあと、はる君は、お礼を伝えた私に『俺が許せなかっただけだから、気にしなくていい』と言ってくれた。

 けれど、そうじゃない。そういうことじゃないの……


「はる君にとって、気にしなくていいことなのかもしれないけど、私にとってはすごく嬉しいことだったの」


 胸の奥に溜まっていたものが、ゆっくりほどけていく。


「私、ずっと、自分の悩みと向き合おうとしてこなかったと思う」


 はる君の綺麗な目が大きく見開かれる。

 統括部長に言われた言葉が苦しかったのは、図星だったからだけじゃない。ずっと私自身が、同じことを心のどこかで思っていたからだ。

< 174 / 339 >

この作品をシェア

pagetop