お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 たいしてはる君は、シンプルな装いでありながら、ひと目で上質だと分かる雰囲気をまとっていた。薄手のジャケットに、無駄のないシルエットのスラックス。インナーは襟元の開きがほどよいカットソーで、きちんとしすぎずそれでいて隙のない整い方をしている。全体的に落ち着いた色味でまとめているのに、不思議と視線を奪われた。

 ハンドルを握る手元には、控えめな輝きを宿した腕時計が覗いている。華美な装飾など何ひとつないのに艶や金属の滑らかな光沢だけで、素人の私にも相当な品だとわかった。


「晴れてよかったよね!」


 窓の外を見て笑いかけると、はる君も運転席しながら目を細めてくれる。


「暑いけどね。でも、これから行く場所は涼しいから大丈夫」
「……どこに行くの?」
「ふふ、それは着くまでのお楽しみ」


 はる君の目が、悪戯っぽくなる。

 前もって「プランは任せて」と言われてしまったせいで、当日になった今も、私はどこへ向かっているのか知らないままだ。

 彼に言われたのは、服装の連絡があったときに一泊分の荷物を持ってきてほしいということだけ。

 いったい、どこへ行くつもりなんだろう。

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