お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 『魅力』とか言っていたから、何か考えているのか気になっていたが、当の本人は終始ご機嫌で、鼻歌でも歌い出しそうなくらい楽しそうだ。

 その横顔を助手席から盗み見ながら、私は心のなかで何度か深呼吸を繰り返す。

 上品な黒塗りのセダン車は、落ち着いた大人の男性のはる君のイメージあっていてとても素敵だ。乗せてもらうのは決起会へ向かうときも含めて二度目だが、本日の目標を忘れてしまいそうなくらい、ドキドキしている。

 きゅうっと、膝上のパンツを握りしめる。

 ……しっかり、伝えるんだから。




 はる君の運転する車は、都内の幹線道路を抜け、やがて落ち着いた街並みの一角へと入っていった。
 高層ビルが整然と並ぶエリアは、まだ昼間だというのに、どこか静けさを含んだ空気に包まれている。
 進行方向の先に、ガラス張りの外壁に光を反射させた、端正な佇まいの建物が見えてきた。


「……帝国国際劇場?」


 車がゆるやかに減速するのを感じ、ここが目的地なのだと気づいた。
 世界的にも名の知られたその劇場は、周囲の景観に溶け込みながらも凛とした存在感を放っていた。
 はじめて来た……


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