お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
「え……?」


 代金は受け取らないから、できたら撮影をさせてもらえたら嬉しいとのことだった。

 この客船のイベント掲示板に情報掲示するだけで、手元だけで収まるよう配慮してくれるらしい。はる君がここの経営者であることに気づいて声をかけてくれたのかと思ったけれど、スタッフの様子を見る限り、どうやらそうではないようだった。数年間ニューヨークにいたはる君は、本社へ戻ってきたのもつい最近で、若い社員の中には、彼の顔を知らない人も少なくないのだという。

 デッキにはすでにランタンを手にした人がちらほらいるが、少しスタッフから距離を置いて、こちらの様子をうかがっているようだった。
 おそらく、誘いを受けてはやんわりと辞退したのだろう。まだ水面へと送り出されたものはひとつもなかった。


「……せっかくだし、やってみようか?」


 はる君が周囲を見渡して、苦笑まじりに言う。

 確かにこのままだと、ずっと始まらなさそうだ。写真も手元だけなら……問題ないだろうか。

< 242 / 339 >

この作品をシェア

pagetop