お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
『ぜひ、この写真を広告に使わせてください』と――

 …………どこかで聞いた話だと思った。

 ホテル経営者として見れば、気持ちはわかる。実際、あれ以上に美しい花嫁のモデルで、幸せそうな瞬間を切り取った写真はないだろう。

 だが、当然ながら、みのりに尋ねると真っ赤になって全力で拒否し、俺としても、どんなによく撮れていても彼女の顔が写った写真を広告に使用する許可はできない。あんなに可愛く撮れている写真を世間へ公開したら、彼女に付きまとう悪い虫が増えて大変なことになるだろう? せっかく、陸にシンガポールでのみのりの周囲を警戒してもらってまで、ひとり追い払ったというのに。

 結局、広告用の撮影は、改めてホテル側が手配したプロのモデルを起用して行われることになり、俺たちが再撮影をすることもなかった。もっとも、関係者のあいだでは『本当はあのプールサイドの写真が一番良かった』という声が最後まで根強く残っていたそうだが。

 ……まあ、あの写真だけは、個人的にしっかり裏から譲ってもらったけれど。


「ねえ、はる君」


 いろいろと思い返していると、愛らしい声が俺を呼んだ。

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