お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 だけど、彼は即座に否定し断言する。それも痛いところを突かれてしまい、私は言葉に詰まった。
 
 ……確かに、そうだけど。けれども、彼のあんな本心を聞いて平気な顔をしてその後も彼と付き合えるほど、私は強い人間ではない。


「……あのときは、急にやりたいことが見つかったんだ。ごめん……はる君には悪いけど、いてもたってもいられなくなっちゃって。驚かせちゃったよね……急に留学なんて」


 彼が聞きたいのはそんなことじゃないのはわかっているし、自分でも支離滅裂なことを言ってるのはわかっている。それでも、どうしてもあの日彼の本心を聞いてしまったことを、打ち明ける気にはなれなかった。さっきも思ったが、いまさら話して、はる君を責めたいわけじゃないし、あんなふうに自信をなくして、ひとりで傷ついていたことを知られたくないのだ。


「とにかく、もう私たちは、もう戻れないよ。――じゃあ、私、そろそろ行くね」


 このままここにいたら、空気に呑まれてしまいそうだ。あんな惨めで苦しい想いをするのはもう嫌だ。私は逃げるようにバッグを手を掴んで席を立ち上がった。


「……なら、なんでそんな泣きそうな顔してるの?」


< 43 / 339 >

この作品をシェア

pagetop