お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 鶴岡さんは、手にしていた端末をビジネスバックにしまいながら、私の声に頷いた。
 資料だけでは見えなかった空間の広がりや動線の流れが、ようやく具体的にイメージできた気がする。
 私も端末をバッグにしまって帰る準備をした。


「……それと、向坂」


 ふと、隣に立つ鶴岡さんが、いつになく言葉を選ぶように視線を落とした。
 先ほどまでとは違う、少しだけトーンの低い声に、「はい……?」と思わず顔を上げる。


 十センチほど高い位置にある、優しい面差しが、何やらとても真剣だ。


「い、一応今後のために確認しておくんだが、その……どんな関係なんだ?」
「へ?」


 どんな関係……? 突然聞かれても、意味が分からない。
 首を傾げると、鶴岡さんは、少しだけ言いにくそうに切り出した。


「ここのCEOとだよ……。さっき、見送りのときにずいぶんと親しげだっただろう……? 何となく、友人というには、仲が良いようにも見えて――」


 そう促されて、午前中のはる君をエントランスまで見送ったときことを思い出す。

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