お別れしたはずなのに、トラウマCEOの淫らな求愛にカラダから蕩かされています⁉︎
 そうだった。エントランスで彼を見送った際、鶴岡さんが親し気な私たちを見て、目を丸くしていたっけ。

 父と大道寺社長の仲が良いのは社内でも周知の事実だが、まさか私自身まで関わりがあるとは思っていなかった顔だった。

 っていうか、鶴岡さんに、こうした個人的なことを尋ねられるのは初めてかも?

 鶴岡さんは、仕事のときに、プライベートな話を、ほとんどしない人だ。
 もしかすると、今後のブライダルイベントに私情を挟まないよう、確認しておきたいという意図があるのかもしれない。
 私は少し悩んだのち口を開いた。


「CEOとは、幼馴染なんです」
「幼馴染……?」

「CEOだけでなく、家族ぐるみで昔から面識があって……その延長で、つい距離が近く見えてしまったのかもしれません。仕事中にもかかわらず、配慮が足りず申し訳ありません」


 しっかりとした口調で伝え、頭を下げる。

 本当のことを言えば、元カレだし、先日ベッドの上で翻弄されたという後ろめたいことばかりだが、そんなこと鶴岡さんに言えるわけがない。

 嘘をつくのは心苦しいが、私はきっぱり否定し業務に支障はきたさないことを約束した。
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