夜風にさらわれたお姫様
お姫様が攫われる?!
朝。
白鴉組本部邸の広間には、珍しく静かな空気が流れていた。
「……」
榴愛は湯呑みを両手で持ちながら、ちらりと煌夜を見る。
視線が合う。
「……何」
「っ、なんでもないです!」
慌てて逸らす。
昨夜の出来事を思い出すだけで心臓がうるさい。
押し倒された。
顔近かった。
“気に入った”って言われた。
思い出しただけで無理。
「顔赤」
煌夜がさらっと言った。
「っ!?」
「熱でもある?」
「な、ないです!!」
「ふーん」
絶対分かってて言ってる。
榴愛がむくれると、広間の向こうで心桜がニヤニヤしていた。
「青春〜」
「みお!!」
「煌夜も罪な男だねぇ」
「うるせぇ」
煌夜は呆れたようにコーヒーを飲む。