夜風にさらわれたお姫様

しかしその時。


依吹が静かに口を開いた。

「煌夜」

「ん」

「黒崎組の動きが少し変です」

空気が変わった。

榴愛も思わず顔を上げる。

「どういう意味ですか?」

依吹はタブレットを操作しながら説明する。

「ここ数日、黒崎組の下級組員が夜坂街各地で動いています」

「……探してるのか」

煌夜の声が低くなる。

依吹が頷いた。

「おそらく榴愛さんを」

榴愛の指先が震えた。

自分のせいで。

そんな考えが頭をよぎる。


すると。

ぽん。

煌夜が榴愛の頭へ手を置いた。

「気にすんな」

「でも……」

「お前が悪いわけじゃねぇ」

その言葉に少しだけ救われる。


駿が腕を組んだ。

「しばらく外出控えるか?」

「うー……」

榴愛はしゅんと肩を落とす。

心桜が苦笑した。

「まぁ今は仕方ないね」

「……すみません」

「謝んな」

煌夜の声は優しかった。

「守るって決めたの俺だ」

その言葉に胸が熱くなる。

どうしてこの人は、こんなに真っ直ぐなんだろう。


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