夜風にさらわれたお姫様
夜。
屋敷の警備はいつも以上に厳重だった。
組員たちが忙しそうに動いている。
榴愛は自室で落ち着かずにいた。
怖い。
もしここに来たら。
もし煌夜が傷付いたら。
そんなことばかり考えてしまう。
その時。
コンコン。
「榴愛、俺だ」
煌夜の声。
榴愛は急いで扉を開けた。
「煌夜さん……」
「少し話すか」
煌夜は部屋へ入る。
今日はどこか疲れて見えた。
榴愛は思わず聞く。
「……大丈夫ですか」
「何が」
「無理してません?」
煌夜は少し目を見開いた。
「……お前ほんと変わってる」
「え?」
「普通、自分の心配するだろ」
「だって煌夜さんがずっと守ってくれてるから……」
その瞬間。
煌夜の目が細くなった。
「……榴愛」
「はい?」
「そんな顔で他の男見るなよ」
「へ?」
「勘違いする」
榴愛の鼓動が跳ねる。