夜風にさらわれたお姫様
その時だった。
――ガァン!!
突然、大きな音が響いた。
「っ!?」
窓ガラスが割れる。
榴愛が悲鳴を上げる。
「榴愛!!」
煌夜が咄嗟に榴愛を抱き寄せた。
外から怒鳴り声が聞こえる。
「黒崎組だ!!」
「侵入者!」
屋敷の空気が一変した。
煌夜の目が鋭くなる。
「部屋から出るな」
「で、でも!」
「言うこと聞け」
低い声。
逆らえなかった。
煌夜は榴愛の頬を撫でる。
「すぐ戻る」
そう言って部屋を飛び出していく。
榴愛は震える手で扉を見つめた。
怖い。
嫌な予感しかしない。
外では怒号が響いていた。
しばらくして。
ガチャ。
「っ!?」
扉が開く。
「煌夜さん――」
しかし。
そこにいたのは知らない男だった。
黒い服。
冷たい目。
「見つけた」
榴愛の背筋が凍る。
黒崎組。
男が榴愛の腕を掴む。
「やっ……!」
「大人しくしろ」
「離して!」
必死に抵抗する。
でも力が強い。
怖い。
涙が滲む。