夜風にさらわれたお姫様

夜。


屋敷へ戻ると、広間で宴会のような空気になっていた。

「榴愛ちゃんおかえりー!」

「煌夜さん迎え行ったって?」

「過保護彼氏〜」

「うるせぇ」

榴愛は苦笑した。

本当に賑やか。


すると。

「榴愛」

煌夜が手招きする。

「なに?」

「こっち」

隣へ座ると、自然に肩を抱かれた。

「っ!?」


「煌夜さーん」

「見せつけですかー?」

組員たちが騒ぐ。

煌夜は気にしていない。

榴愛だけが限界だった。


その時。

「あ、写真撮ろ」

心桜がスマホを構える。

「えっ」

「記念記念」

「待っ……!」

パシャ。

撮られた。


しかも煌夜が榴愛を見下ろして微笑んでる瞬間。

「うわ強い」

「美男美女」

「待ち受けにしよ」

「やめてぇぇ!!」

広間に笑い声が響く。


煌夜はそんな榴愛を見て、小さく笑った。

「騒がしいな」

「誰のせいだ!!」

「俺?」

「煌夜でしょ!!」

煌夜は楽しそうだった。

その顔を見ていると。

榴愛も自然と笑ってしまう。

怖い世界。

危険な毎日。


でも。

この場所は温かかった。

まるで、本当の居場所みたいに。
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