夜風にさらわれたお姫様
夜坂街の中心街。
休日ということもあり、人が多い。
煌夜と並んで歩くと視線がすごかった。
「見られてる……」
「気にすんな」
「煌夜は慣れてると思うけど!」
実際、周囲がざわついている。
「あの人かっこよ……」
「彼女可愛い」
「モデル?」
ひそひそ声が聞こえる。
榴愛は落ち着かなかった。
すると。
ぐい。
「きゃっ」
煌夜が榴愛を引き寄せた。
「はぐれる」
「……っ」
肩を抱かれる。
近い。
「こ、これ必要なの!?」
「必要」
即答だった。
絶対楽しんでる。
最初に来たのはゲームセンターだった。
「え、煌夜ゲームとかするんだ」
「たまに」
意外。
煌夜はクレーンゲームの前で立ち止まる。
「何欲しい」
「え?」
「取ってやる」
榴愛はぬいぐるみを指差した。
白い猫。
「可愛い⋯⋯」
「お前っぽい」
「なんで!?」
煌夜は笑いながらプレイする。
一回目。
失敗。
周囲がざわつく。
「煌夜でも失敗するんだ」
「うるせぇ」
二回目。
見事にぬいぐるみが落ちた。
「すご……!」
煌夜は当然のように榴愛へ渡す。
「ほら」
「ありがとう!」
榴愛が嬉しそうに笑うと、煌夜の目が細くなる。
「……その顔好き」
「っ」
また心臓が暴れた。