夜風にさらわれたお姫様
夜。
榴愛は部屋で今日撮った写真を見返していた。
ゲームセンター。
クレープ。
展望台。
どれも楽しかった。
「……」
その中に、一枚だけ隠し撮りみたいな写真がある。
煌夜が自分を見て笑っている写真。
それを見た瞬間。
胸が熱くなる。
「好きだなぁ……」
ぽつりと零れた。
すると。
コンコン。
「榴愛」
「っ!?」
タイミング悪い!
榴愛は慌ててスマホを伏せた。
「ど、どうぞ!」
煌夜が部屋へ入ってくる。
「何隠した」
「な、何も!」
「怪しい」
煌夜は榴愛の隣へ座る。
近い。
最近この距離に少し慣れてきた自分が怖い。
「……楽しかったか」
「え?」
「今日」
榴愛は少し笑った。
「すごく」
その瞬間。
煌夜の目が柔らかくなる。
「ならよかった」
榴愛の胸がきゅっとなる。
この人、本当に自分のこと大事にしてくれてる。
すると。
「榴愛」
「はい?」
煌夜が榴愛の髪を指に絡めた。
「……好き」
「っ」
真っ直ぐな声。
榴愛は視線を逸らせない。
「……私も」
そう返すと、煌夜が少し笑った。
そのまま距離が近付く。
キスされる。
優しく。
甘く。
「ん……」
榴愛の吐息が漏れる。
煌夜がぴたりと止まった。
「……今の反則」
「へ?」
「可愛すぎ」
「っっ!!」
榴愛は顔を覆った。
煌夜は喉の奥で笑う。
絶対楽しんでる。
その時。
ガチャ。
「榴愛ー、明日――」
入ってきた心桜が固まった。
「……」
「……」
「……お邪魔しましたー」
閉めようとする。
「待ってみお!!」
榴愛は慌てて止めた。
心桜はニヤニヤしている。
「いやぁ、ごめんごめん」
「もうっ……!」
「煌夜、顔甘すぎ」
「そうか?」
「そうだよ」
榴愛は羞恥で死にそうだった。