夜風にさらわれたお姫様

翌日。


榴愛は心桜と一緒にキッチンにいた。

「ほんと付き合ってから煌夜変わったよね」

心桜がジュースを飲みながら言う。

「そうなの?」

「前はもっと冷たかった」

「……今もクールだけど」

「榴愛には激甘」

確かに。

最近ずっと優しい。

頭撫でるし。
抱き寄せるし。
すぐ“可愛い”って言うし。

思い出してまた顔が熱くなる。


その時。

「榴愛さん」

燐斗がキッチンへ入ってきた。

「これ、荷物」

「あ、ありがとうございます!」

榴愛が受け取ろうとすると。


ぐい。

突然後ろから引っ張られた。

「わっわっ」

「……燐斗」

煌夜だった。

目が少し冷たい。

「近い」

「え?」

燐斗がきょとんとする。

「別に普通だろ」

「普通じゃねぇ」

完全に不機嫌。

榴愛はぽかんとした。


もしかして。

「……嫉妬?」

その瞬間。

広間が静まった。


煌夜が榴愛を見る。

「……悪いか」

認めた!?

榴愛は真っ赤になる。

燐斗が苦笑した。

「重症だな」

「今更」

依吹まで頷いている。

煌夜は榴愛の腰を引き寄せる。

「他の男に笑いかけんな」

「む、無茶言わないでよ!」

「嫌」

「子供!?」

周囲が笑い始める。

でも。

そんな煌夜が少し可愛く見えてしまった。


< 45 / 120 >

この作品をシェア

pagetop