夜風にさらわれたお姫様

7月17日


「……もうすぐだね」


朝。


キッチンで心桜がニヤニヤしながら言った。

「何が?」

榴愛が首を傾げると、心桜は机へ頬杖をつく。


「煌夜の誕生日」

「……あ」


7月17日。

白城煌夜の誕生日。


付き合って初めて迎える特別な日だ。

「プレゼント決めた?」

「うぅ……まだ」

榴愛は頭を抱えた。

何をあげればいいのか分からない。

煌夜は大抵のものを持っている。


高級ブランドも。
時計も。
アクセサリーも。


「うーん……」

心桜が悪い顔で笑った。


「じゃあさ」

「?」

「榴愛がプレゼントになれば?」

「……へ?」


数秒、沈黙。


「……え?」

「だから、リボン巻いて“プレゼントは私♡”って」

「みおぉぉぉぉ!?」

榴愛は真っ赤になった。

「無理無理無理!!」

「絶対煌夜喜ぶ」

「そういう問題じゃない!!」

心桜はケラケラ笑っている。


「でも普通のプレゼントより記憶残るよ?」

「そ、それはそうかもだけど……!」

想像してしまった。


煌夜の反応を。


絶対無理。
恥ずかしくて死ぬ。


その時。

「何騒いでんだ」

低い声。

「っ!?」

振り返ると煌夜が立っていた。

榴愛は飛び上がる。

「な、なんでもない!!」

「怪しい」

煌夜が目を細める。

心桜は必死に笑いを堪えていた。

「いや〜、秘密」

「……ふーん」

煌夜は榴愛を見る。

「顔真っ赤」

「っ……!」

絶対バレた。

でも内容までは分からない……はず。


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